みちばた
田中修子

黙りこくって下ばかりみて 歩いていたら
花が咲いていた 枯れ葉が落ちていた 色とにおいと

たまに ぽかあんと 空をみあげると

ひろくって 青くって ちょっと吸い込まれてしまいそうで

呼吸いきが、真っ暗なトンネルだったのを、ふりかえってみれば、ひかる道になっている

--ようにみえる、あなたのがそうだから、わたしにもきっと

どくろがころんと、いくつもいくつも道に
ころがっていて、その眼窩から溢れるように

色とりどりの花が咲いていて、いつだって想い出がこぼれて消えてしまいそうになるのを摘んで、編んで、からだじゅうに、巻きつけて、枯れてゆくのが、はらはらおちていって

そうっと荷物を置いてしまおう、あら、肩にかみついてたんだ、ごめんね、どくろちゃん

(ああ、自分が置き去りにされた 荷物で どくろで あったこと いまは忘れるふりをして、
さようなら、さようなら)

道がすれちがって十字路になって
そこに錆びれた雨ざらしのベンチがあって

ひとときのお茶をしよう

きみ、すてきな魔法瓶をもっているよ、むつかしい顔ばかりしているから忘れちゃってたんだよ
分け合おう、ほら、いい香りと湯気だよ

腰かけて、おもいでばなしをわずかして
ほんのすこし 体があったまったら

また歩き出そう
--また、歩き出そうね


自由詩 みちばた Copyright 田中修子 2018-12-21 19:18:57
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