ト なって5 声ことば
ひだかたけし

宇宙は雪降り
街は冬晴れ
燦々と照る
太陽渦巻き
宇宙の渦巻き
俺は聴く
銀河が
旋回
する
音を

タタタタタッ
走る走る
芭蕉の奥の細道を
走る走る
タタタタタッ
言葉が走る
過客が走る
底まで走る
奥の未知!

『一ふき風の木の葉しづまる』
と芭蕉が詠んだとき
芭蕉はコトバ
ト なって
沈黙を聴いている
(しづまる を 聴いているのは いったい 何か?)

一ふき風の木の葉しづまる
ひとふきかぜのこのはしづまる
ヒトフキカゼノコノハシヅマル
一ふき
風の木の葉
しづまる
一ふき風の 
木の葉しづまる

俳句は芭蕉の声である

声、
人声(ひとこえ)の
戸口に立って境を跨ぎ
囁くように誘うように
遠退く宇宙の底無しの声、
憑依し沈ませ木霊させ
人声の
言霊言葉トなって
耳打ち目打ち触を打ち
瞬時開ける底の底を
奇跡のように
響かせる

宇宙の
底は底無し
遠去かる
底の底から
舞う舞う
無音の
無底の
声を聴く
彼方と此方を
行き来する
精霊たちの
声を聴く

だだだだだ
ダダダダダ
打打打打打
打って引っ掻き書き殴る!
言葉ノ
コトバ乃
声ことば






自由詩 ト なって5 声ことば Copyright ひだかたけし 2018-12-14 22:46:25縦
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