道化師
中原 那由多

人に言えない病を抱え
ぐっと歯を食いしばる
漢方薬は美味しい訳も
当然ない、当然ないにも関わらず
幸福感で満たされた
白昼夢のあなたのように
嘘をついていくのです

あれからいくらか時が経ち
微睡むことさえはばかられ
言葉の海を泳いでく
執着が磨いたその感性は
スイミーか、エトセトラか
劣等感の行方を追っては
嘘をついていくのです

焼け付くような痛みがあった
遠い遠い記憶のようで
背中合わせの承認欲求
ケッヒヒケヒヒ
お前は一体どこへ向かう?
ケッヒヒケヒヒ
ケッヒヒケヒヒ
そのグラスを満たしたものは
土留色、いや漆黒と
嘘をついていくのです

既に寒空、滲みる傷口
大人になった気がしてた
炭酸のように溢れ出たわがままも
消しかすのようにまとめて固めて
涙でしわくちゃになっていく
日が昇る前にさようなら
乾いた大罪、元気はつらつと
嘘をついていくのです

嘘をついていくのです


自由詩 道化師 Copyright 中原 那由多 2018-12-14 20:11:33縦
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