踏切
ふじりゅう

ここに一筋の海があるとして
だけど、そこに何かある訳じゃない
言葉に出来ないような貝殻や
名状しがたい砂浜のアートが
何故だか僕の纏まらない思考を
一瞬忘れさせてくれるだけだ。

例えば、一人の友達がいるとしよう。
飛行機に乗ってお菓子を渡そう
彼の「ありがとう」が
僕をどれだけ傷つけるか、分からないから
僕は誰も要らずに
指にアメンボを乗せた

眉間にシワを寄せて
腕を組んで 黙って立ってたら
みんな新幹線に乗っていた

踏切で佇む側で
トランプを嗜む貴族達が
僕を留めずに行き過ぎた

そこで、草陰の
しみしみと流れる小川の
未知数の清水を唇で啜ったんだ
僕のアメンボ
空想の祭り 妄想の絶景

カンカン、カン カと、また 現実が行き過ぎた


自由詩 踏切 Copyright ふじりゅう 2018-12-12 16:15:55
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