青い鳥
オイタル

青い鳥 幸せの
とはいえそれは
細い翼のその先の
先の先まで青いとは限らない
けど青い鳥

 刈り上げられた田んぼの畦を
 歩いてくるのがカツオさん
 古びて背の高い人で 猫背で
 よろよろと小川の草を目で切って
 もういい加減 働くこともいやになっただろうに

秋の梢でひとしきり
羽を休める青い鳥
梢の陰で知らぬ間に
音(ね)を鳴きこぼす青い鳥
部屋に残した栗の実を
窓から覗く 青い鳥

 晴れ渡るアスファルトの道路を
 歩いてくるのがサダオさん
 空っぽの買い物袋みたいにふらついて 笑って
 青空のことなんかすっかり忘れているのを
 自分でよくわかってるくせに

眠りの戸口に餌(え)をこぼす
青い鳥


自由詩 青い鳥 Copyright オイタル 2018-11-18 21:39:37縦
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