鉄の嵐の翌日に
Giovanni

鉄の嵐の翌日に
ガジュマルの若葉が
青黒い焦土から
そっと芽吹いた
たくさんの血が流れた
悲しい焦土から
おだやかに命を紡いだ

祈り
叫び
呼び
思い
気遣い
耐え
あるいは
何も思わず
一瞬に
逝った
千万の人たち
千万のおじいとあばあ
千万のおとうとあかあ
千万のにいにとねえね
千万の乳飲み子
千万の兵士
千万の鉄血
千万のひめゆり
千万の海兵隊

もうこの世にいない
すべての人々の血が
この地へと還っていった

若木は
育ち
華やぎ
老いて
いつしか
死んでいく

倒れたら
おしまいなのだろうか
すべてが幻なのだろうか

朽ちゆくガジュマルを
眺めながら
生まれた若芽を
愛しみながら

おだやかに
忘れるまいと
誓いたい
忘れるまいと
伝えたい


自由詩 鉄の嵐の翌日に Copyright Giovanni 2018-11-18 11:42:18
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