或る夜に
ヒヤシンス


 さみしさが夜空にぽっかり浮かんでいた。
 月は雲に隠れてしまった。
 噛み締めたくない孤独は、目の前で立ち昇る煙草の煙と共に、
 私の胸にその影を落とした。

 夢の中で何人もの人を殺した。
 ヤラナケレバヤラレル、ただその理由が為に。
 死は恐怖そのものだった。
 目が覚めても人肉を槍で貫く感触が手に残っていた。

 私の心はさみしさで塗りたくられている。
 募る愛しさがさみしさにすり替えられる。
 心の貧しさよ、射ろ。

 群青色の夜空は深く、さみしさを湛えている。
 ふたつのさみしさが共鳴し、
 冷たい冬の風に響いている。
 
 

 


自由詩 或る夜に Copyright ヒヤシンス 2018-11-18 01:19:57
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