オレンジの雫
藤鈴呼


宵闇に揺れる 高速道の灯りよりも
大好きな瞬間が訪れた

巨大なビルディング
斜め上から見やるには
小さな蟻の巣にも似た鐘状

ダイヤモンドよりも
美しい煌めきを問いなさい
空白を埋めるのは
貴方と 過ぎし夕の溜息

京風おもねく空の僻地で揺れる
移動する日暮れの太陽
人が其れを 夕闇と呼ぶ迄には
未だ間が在りて

聴こえるのは 鴉の羽ばたき
突っつき合って
楽しそうな 逃避行
何処へ還るものか
誰も知らない

どんなにか美しい宝石よりも
麗しい太陽の滴が
今 ぽたり、と 落つる

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自由詩 オレンジの雫 Copyright 藤鈴呼 2018-11-12 21:54:45
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