手の指
あおいみつる

黙って手の指を見つめる
いかにも繊細すぎる指が伸びる
まるで毛細血管のよう

心も考えも何もかもが細かく
脳のシナプスのように連なる

見えない何かに怯え
聞こえない神の声もキャッチする
妄想か事実か判別はできないが
そう信じこむ

それは諸刃の剣のようで
自分をも他人をも傷つける

過去の痛みと涙とは
赤子までさかのぼり
俺を苦しめる

それは自分だけを責め
時に泣きながら笑う
本来の自分を失い
生の喜びをも奪う

人から遠ざかり
人も遠ざかる
やがて孤立して
怯えて一歩も動けなくなる

そう手の指が物語っていた







自由詩 手の指 Copyright あおいみつる 2018-11-12 12:52:17縦
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