みかづき
タオル

みかづきをみた。
空は真っ青なよる。
すべりこみセーフならいい、
いや別にどっちだっていい。
たるんだ自転車のハンドルをふらふらさせて、
よみち。
狸がひらいた居酒屋があるんだって、
と友だちが言った。
うそぉ
いやほんとだって、
どこ?

置いてきぼり
真っ白なよる

狸のかおがかいてある、おしぼりを渡された

中のジョッキでしずかに乾杯する

暑いね
暑い
ビールおいしい?
うーとくにおいしくもないしまずくもない
ビールあたりまえのビールの味だねえ

やるせなくなった

青い背のさかな、青い背筋なんてえいえんにうつくしい
…褒められても、食べられないで生きていたかったろうけど

みかづきおいしい大好きって言ってみる
ハン!?
と聞き返される

おしぼりでなんとなくカウンターを拭く
眠たくなる
穴みたいな暗く湿ったとこで
小さな盃を狸と酌み交わして

にんげんなんかキライ、

そういうみかづきのかお。






自由詩 みかづき Copyright タオル 2018-11-11 23:34:00
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