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ミナト 螢

箱の内側に油を塗って
取り出したマトリョーシカみたいな

重なる記憶がぶつからないように
思い出はいつも滑りやすいから
スケートリンクで放し飼いにする

転んだら痛みが伝わる身体
あの日もそうだったと振り返りながら
傷付くことに慣れてきてしまった

君が倒れても僕の中へおいで
マトリョーシカに与えた命が
またひとつの思い出を生み出す

カーテンを開けるよりも早く笑って
夜から朝へと青が焦げ付いて
フライパンの上に溜めた水を

空だと思って眺める時は
指先を燃やし朝焼けを作れ


自由詩 リンク Copyright ミナト 螢 2018-11-10 08:14:39
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