夜、その自由で自在な
秋葉竹



粉雪が降って
誰もいない夜、

心の花を枯らした
おとなしい哀しみが
うつむく

林檎の木から
甘酸っぱい香りがする
幻想世界、
真っ新な空気が
喉の奥まで冷やしてくれる
仮想世界、
私たちは、
ときには、
そんな星の下で眠るから
二人でいられるあたたかい気持ちを
ずっといつまでも、たもちつづけることができる


陽だまりの日常を
暖かい気持ちのよりどころにするな。


嘘っぱちのやさしい夢が
私には必要だから

夜は、
長い

真っ白に降り積もる冬の草原に
少しづつ雪の結晶が哀しみをにじませる

こころの軽さはない
こころの潤いもない
こころの歓びを感じるには
甘酸っぱい、
熱っぽい狂信が必要となる

その儚さ

そのとき
宙に止まった雪の想いは、
羽を休めるように
地上に降りてきたのだと
聞こえないほどのささやき声で
私にそっと打ち明けてくれた

それはみんなが憧れる
毛羽立ったこころを
しっとりと慰めてくれる
小さな声の雪の歌なんだ


歌を歌うのは、
だれ?

問うは、自由な私。

雪をすくうのは、
だれ?

問うは、自在な私。








自由詩 夜、その自由で自在な Copyright 秋葉竹 2018-11-09 21:55:51
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