怒り
坂本瞳子

私の怒りはなんの助けにもならない
だから怒らないほうがいい
どんなに苛つくことがあっても
怒りを抑えて
ひたすらに堪えて
怒ることなどしない方がいい

そうはいっても
いつも笑顔ではいられない
嫌いな人がいたり
悪口を言ってみたり
影に隠れて舌を出してみたりして
自己嫌悪を覚える

耐え忍び
媚びへつらい
作り笑顔もできないくせに
嘘泣きはできたりして
背伸びをして
肩肘を張って
鼻息を荒くして
ふんぞり返って
ガニ股で
肩で風を切って
裏の小道でタマを撫でてやるさ

溜息をひとつ
大きくついてみたり

夜空に浮かぶ
ほの明るい月に癒やされて
一筋だけは涙を流し

また明日も生きてゆこうと
心をあらたに
頷いて
ただ自分に頷いて
太陽を求める


自由詩 怒り Copyright 坂本瞳子 2018-11-09 00:26:15
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