モルグ
藤鈴呼



階段を駆け上がる音
せわしなく語り尽くす亡者たち

今 ここに
灰汁だらけの挑戦状が 叩きつけられて

扉に飛び散る液体が ワイン色の微笑を称えた瞬間
零れ出す 笑顔の中に埋まる白い歯

其れは何時かの象印
猿が落とした 鉄製の轡

握る度に ひんやりとした恐怖が滲み始める
今日び 安全な寝床などないと 
知っているかのような 戯言

空色のランドマーク
誰よりも清々しいと 綻んで繋ぐ糸に紛れて
蟻んこが行進する

あの穴の奥に隠れたら
どんなに頑丈な岩垣をも 打ち砕いてしまう

綺麗なサルビアが咲いていたったって
垣根から飛び出す病的な色合いの細い爪が
手招きをしているようで

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自由詩 モルグ Copyright 藤鈴呼 2018-11-08 23:48:20
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