無性に海を見たくなってしまいました。
こたきひろし

ある日
休日でした
朝から無性に海を見たくなってしまい
妻を誘い、まだ小さかった二人の娘も車に乗せて
一路海に向かって走りました

天気は晴れでしたが雲は浮かんでました
海岸道路から海に面した駐車場に入り停車して
家族四人外へ出ると
波の音と海風がそこにありました

遥か水平線はキラキラと輝いてました
季節外れの海は
誰もいない海ではありませんでした
人影は疎らにありました

駐車場から急な砂の斜面を転びそうになりながら下へ降りると砂浜を歩いて
海水の所へ近づいていきました
妻と娘たちは履いていた靴を
波の届かない砂の上に置いて波打ち際ではしゃぎだしました

砂浜には流木や空のペットボトルや空き缶が捨ててありました
すると上の娘が何かを拾いあげて私の方に聞いてきました
お父さんこれなーに
先に妻がそれに気づいて顔色を変えました
娘の手からそれを巣早く取り上げると想いきり海に投げ捨てました
娘は驚いて泣きそうになってました
それは明らかに性具でした

娘は娘なりに何かを感じたようでした
それきり何も聞いてはきませんでした

上の娘は、いつの間にか二十七歳になってました
下の娘は三歳下でした
その夜テレビを見て下の娘が言いました
一線をこえてないって何?
すると上の娘が答えました
やったかやってないかだよね
お父さん。でしょ
私に同意を求めてきました

私はそれに何も言えず
心のなかでそっとつぶやきました
娘よお前は既に大人の女へと
一線をこえていたのか


自由詩 無性に海を見たくなってしまいました。 Copyright こたきひろし 2018-11-07 23:45:43
notebook Home 戻る  過去 未来