神風
ミナト 螢

夜の落ち葉が光る波のように
寄せては返す大丈夫だよと
肩を叩いて飛んで行ってしまう

残された重さを手で包んでも
冷えていくのは止められないから
ハンカチを当てて隠した肩に
思い出を並べ明かりをつけた

力強かったあの人の手が
今どこにあるのか知らずにいること

落ち葉の使者が風に頼まれて
私を励ましに来てくれたなら

白いワンピースを揺らしながら
あの人のためのシーツになって
空のカーテンを鳴らしてみたい

そして風に乗り私は消える
ハンカチを一枚置き忘れて

朝の眩しい夢の途中で見た
イニシャルのYをあなたが探す


自由詩 神風 Copyright ミナト 螢 2018-11-06 08:36:05
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