錠前
ナンモナイデス


待ちかねていた
陽の射さない
真冬のバス停

一人 二人と
去り始め
待ちかねているのは
まっている私と
知らぬ間に
尾行してきた
黒い影

ちゃりん ちゃりん
鈴が鳴る

待ちかねていた
人々が
一人 二人と
バスに乗る

あの黒い影も
待っていたのか
バスに乗った

ちゃりん ちゃりん
ドアが閉まり
バスは出た

私は
バス停の辻にある
肉屋でコロッケ
一個買う

食べおわる
頃には
家に着く

今晩は誰もいない
ダイヤル錠
をまわす



自由詩 錠前 Copyright ナンモナイデス 2018-11-04 21:41:50
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