昔話とその後
こたきひろし

むかし
私は反戦の詩ばかりを書いてました
他人の真似をして
だけど浅い心の底では
平和は水や空気と一緒でした

むかし
反戦詩人だった私も
今は救いようもなく歳を重ねてしまい
ただの、好色な爺になってしまいました
詩は人生のごみ溜めに沈めてやりました

むかし
私は努めて恋愛の詩を書いてました
だけど
女たちは皆私をよけていきました
他の男のたくましいけつの後をついて行きました
私の恋は人生のごみ溜めに
ぷかぷか浮いていただけでした

むかし
男は戦争でした
国家の手先になって
上官の命令に従い
捕まえた捕虜を銃剣で突きました

むかし男は兵隊でした
でも
いつかその時を待たずに
施設の寝台の上で安らかに植物になってしまい
そして
死んでしまいました


自由詩 昔話とその後 Copyright こたきひろし 2018-10-31 23:13:43
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