サムライウーマン
ミナト 螢

ピンクの小瓶に入った香水で
描いた円の中を8の字にくぐる

身体に纏う鎧は軽い方が良いと
何だか強くなれた気がする匂いを

薄い皮膚の下に忍ばせながら
シャツの襟元を折り返す時

桜の開花みたいに広がる希望が
ゆっくりと北上してく未来の
前線に乗って辿り着く街へ
自分の代わりに香りを届けたい

そこに待っている人がいなくても
風というマントで飛び回ってる

光の屈折を椅子にしようと
腰をかけたら逃げられてしまうけれど

誰かの膝の上で眠りたくて
桜の木を倒した夜に香る春の雫で

分裂した私をいつまでも
受け止めて欲しかったよ


自由詩 サムライウーマン Copyright ミナト 螢 2018-10-31 08:14:59
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