あたたかい人
立見春香


あたたかい人も、いたよ
やさしい目をしていた

責める人も、いたけど
そんなつまらないものを
書くものはバカだぞ、と
もう、いい加減にしろよ、と
圧倒的なパワーで
わたしを諦めさせようとする
他者を否定することを
なんとも思わない
その強い意志

じぶんで
じぶんの口を塞げ、と


誰かを好きになることを
誰にもとめられないのは、
誰かを好きになる心は
巧妙な自己愛だから、
なのかもしれない

心は、不器用で、
わたしはほんとうを喋る

みんなは嫌な顔をして
大きく顔をそむける


そこには
風に吹かれて
消えてしまいそうな
美しい青い炎が
かたくなな芯を燃やし、
ゆらめいている

その真心を対価に
夢というダイヤモンドを
ひとかけら削りとった
やり場のない鬱屈する気持ちを
そっとなぐさめようとするよ

この世界を
灯すよりも
心の闇を灯したい

そんなやさしい言葉を
そんなやさしい目をして

目で愛して、わたしを選んでください

風………
はいつまでも吹き続ける

風をみる
その丘にはいくつかの
哀しみの風車がゆっくりと回る


ありがとう………
こんなわたしを選んでくれて


ええ、ええ、
間違いないよ
そこには
あたたかい人も、いたんだよ?







自由詩 あたたかい人 Copyright 立見春香 2018-10-30 02:01:39
notebook Home 戻る  過去 未来