抱きしめてあげる
立見春香


あなたは、
寒かった?
あなたは
寂しかった?
あなたは
苦しかった?

過去を振り返って
こころのありかを「問おて」いるの?

じゃあ、
わたしは
そのあなたに、問うわ



じぶんのこと
そんな気取り屋さんだと
知らなかったんでしょう?

孤独を貫くこころは
もういまさらやさしさを
求めさせてはくれないんでしょう?


そんな朝
ベッドの横に転がる枕は
声のしゃがれた
青いアヒルで、くちばし黄色の
アニメ顔
いたずらっぽい笑いだね?

それは、
へんなわたしを笑ってるのかな

にらみ合ったアヒルのおなかを
ポンポンと軽く叩いて
ふたり
認めあってるのなら
邪魔しやしない
そんな関係
だから
抱きしめてあげる、枕ギュッと

前方不注意で
傷ついた愛を取り戻し
ああだ、こうだ、なすべきことを知り
最後まで忘れない真摯さ、安売りしちゃう

そしてさっきまで転がっていた枕
抱きしめたように
あなたの孤独も抱きしめてあげるよ

やさしくされる
覚悟はしておいてよ

泣かして、あげる……


ほど






自由詩 抱きしめてあげる Copyright 立見春香 2018-10-28 15:47:55
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