極極、平凡な毎日は
こたきひろし

極極、平凡な毎日です
極極、平凡な暮らしです
私が切に求めてやまないものは

でもね
極極、平凡な毎日や
極極、平凡な暮らしほど
簡単に手には入らないと
よくよく身をもって知らされました
半世紀以上も生きてしまいましたから

その時
私は三十代半ばでした
一人の女性と男女の契りを交わしました
恥ずかしながら
私は初めてでした
彼女もそうであったかは
考えもしなかったし分かりませんでした

自分で言うのもなんですが
私は純情な男でした
うぶだったんです

当然
結婚を考えました
結婚
しなくてはならないと
決意しました
でもそれは
男の欲望に過ぎないのかもしれませんでした

結婚への焦りもありました
私は彼女の同意を得て
ご両親と会いました
そして彼女を私の両親のもとに
連れていきました

婚約がととのい
結婚の日取りも決まりました

なのに
どうしてかわからなかった
私には理解できませんでした

彼女の気持ちに迷いがうまれてしまいました
もうあとには引き返せないはずなのに
日増しにそれは強くなって
彼女の言動があやしくなってきました

私は疲れました
私は疲れましたが
結婚を断念するわけには
いきませんでした

私にはたった一度のチャンス
後はないと思ったからです

私にだって
極極、平凡に結婚し
極極、平凡に子供を授かり
極極、平凡に家庭を築く
奪われたくない
権利があるのです

私は彼女のマリッジブルーに
振り回され
振り回され
そして
家庭を
家族を
手に入れたしだいです

極極、平凡な人生を
手に入れたくて

果たして
私は間違っていましたかね




自由詩 極極、平凡な毎日は Copyright こたきひろし 2018-10-27 07:28:57
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