ミナト 螢

自転車置き場に届く光が
まだ短くて生まれたばかりで

ちょうど髪の毛のような糸が垂れ
サドルにまたがるとすぐに消えた

太ももの上を温める光
こんな所で遊んでいるのかな

動いたら付いてくる猫みたいに
この光はきっと冬毛なんだね

白くて柔らかい毛を撫でるため
太ももの真ん中に掌を置く

弱い熱を放つ季節になって
見つけにくかった命の灯火

あの時カゴの外へ逃げた猫が
今になって戻ってきた運命を
抱きしめている一本の毛であれ

指の隙間からこぼれる光が
私に懐いて離れられない


自由詩Copyright ミナト 螢 2018-10-26 08:13:13
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