砂漠のオレンジ
花形新次

砂漠で見る
オレンジは
鮮やか過ぎて
つらい
────自称詩人 やすじゅん

人質で思い出すのは
黒澤の用心棒だ

良い母親の司葉子が
人質交換されるとき
離れ離れの
幼い息子に触れようと
必死の思いで
駆け寄るのとは対照的に
敵対勢力に捕まった息子が
解放されると
山田五十鈴演じる悪い母親が
「迷惑掛けるぐらいなら死ね」
と息子を張り飛ばすシーン

私は何度見ても
山田五十鈴演じる悪い母親に
悪い感情を抱いたことはない
むしろ「その通り!
息子のおまえ!だらしねえぞ!」と思う

一方、良い母親の司葉子はと言えば
助けられたときに
二度と近寄るんじゃないって言われたのに
ノコノコまたやって来て
結局、命の恩人を窮地に追い込むんだからさ
助け損な訳よ

それに、良い母親の司葉子は
旦那がギャンブルでこさえた借金のかたに
エロじじいに売られたんだから
子供は別にしても
旦那のことは
いつかぶち殺してやりたいぐらいに
考えてんだろうとか思うし

まあ、そんなこんなで

「俺は哀れな奴が大嫌いなんだ!
メソメソしてると叩き切るぞ!」





自由詩 砂漠のオレンジ Copyright 花形新次 2018-10-25 20:11:22
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