夜をかがる
青花みち

宵の切りくち、触れて、きっとベルベット。本当の黒なんてどこにもなかった。なでた場所から裂けていく夜をかがり縫う。濃紺であり、薄墨の、暗いからよく見えない、黒ではない黒色。ひと刺しごとに指先へと重くのしかかるので、遺伝子の秘密、すべてここにある気がします。地球の回転とともに遠く遠くへ広がって、果てを知らないまま針を差し入れる。わたしを眠らせない孤独がいいね。明けない夜もあるのだと知ってしまったから。首をかしげているのなら、この胸をほどいて見せてあげるよ。あとで、あとで、あとでね。


自由詩 夜をかがる Copyright 青花みち 2018-10-24 01:59:04
notebook Home 戻る  過去 未来