ふえる
はるな


ねむたい灯りのすべてにいちいち
湿度や数や記号がついている
おもえば ずうっとまえ
まぶたがまだ無かったころから
ふえることが課題だった
ふえ、進むこと

まだいくらでも捨てるものがある
目も鼻も、まゆ毛や腕も
爪も唇も声も
この灯りの 前や後ろ
水槽の黴のにおい
ふえること
そのために
わたしたちでない何かになるために
ふるえて、めざしている


自由詩 ふえる Copyright はるな 2018-10-22 22:03:21
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