半分より小さい
天鳥そら


みかんやりんご、お菓子にパン。

半分こするとき、母は大きい方をくれる。

大きい方をもらって喜ぶ時期を過ぎたころ。

冷たい清水がつと胸の奥に流れて、ほろりと目からこぼれ落ちそうになった。

誰かと半分こするときは、相手に大きい方を渡そう。

そう決めたのに、小さい方を渡してしまった。

母のくれた半分の大きい方を思い出す。

私は、半分より小さい。


自由詩 半分より小さい Copyright 天鳥そら 2018-10-22 08:26:41
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