断層
ミナト 螢

叶わない恋ばかりをして
安全地帯に置いた自分の
抜け殻を抱いて落としたマスカラ

涙に濡れて旗を揚げた今
遮断機を超えて会いに行きたい

募らせる想い果てなく続く
地震が起きて沈んでくプレート
私とあなたを隔てる壁が
いつか本当に崩れるとしたら

安全地帯なんてどこにもなくて
心は虫歯のようにぐらつく

すれ違う言葉を投げ合ったり
受け止めきれない声を貰ったり
指一本さえ触れることなく
透明な花束を交換した

近付こうとすると遠去かるのは
傷付かずに笑っていたいから

私たち少しずつずれていくね
好きな景色や食べ物も知らずに

思い浮かべた落ち葉の挨拶が
ふたりに良く似ている空風を
巻き込んで互いに進む時間は
土へ還るまで道草しよう


自由詩 断層 Copyright ミナト 螢 2018-10-17 10:03:11
notebook Home 戻る  過去 未来