白梅/竪琴
新染因循

白梅/

三月の梢に白梅が一輪

打つ、打つ、秒針が打つ
朧夜の風は一握の砂
一握の砂は白梅の香
散る、散る、白梅が散る

白梅の梢に静寂が一輪



竪琴/

月の寝台に腰掛ける。
測りがたき遠方の水平。

ああ、忘却を満たす潮騒と
白く澄んだ女神の微笑、
響きあう波と時間。

しののめを編む母は
今宵、竪琴を弾くだろう。


自由詩 白梅/竪琴 Copyright 新染因循 2018-10-08 20:59:48
notebook Home 戻る  過去 未来