初恋・幻影 ---ショパンを追悼して
st

(時は1829年10月 ショパンは19歳 

恋心にときめいていた)



今はただ せつなくて

好きなのに  言葉がでない


きみの前では

なにもいえない


でも

きみのことを想うとき


鍵盤の上を ながれてゆく

旋律がみえる


なんて美しく はげしく

せつない しらべだろうか


気付いたら


僕の気持ちが

そのまま

五線譜におちている


きみのことを夢見て

きみを想いながら


僕はコンチェルトの

アダージョを書いた


このコンチェルトと


今朝できあがったばかりの

ワルツにのせて


僕のこころをとどけよう


いとしい人よ

きみが気付いてくれるように




(翌年11月2日 ショパンはポーランドを発つ

以後 彼は再び帰国することなく

いとしい人と会うことはなかった

でも ショパンが持ち歩いていたアルバムには

彼女からの一編の詩が書かれていた「---忘れないで、

忘れがたき人。ポーランドには

あなたを愛している人がいることを---」と)






自由詩 初恋・幻影 ---ショパンを追悼して Copyright st 2018-10-08 12:12:39
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