UFO
ミナト 螢

台風の夜はビニール傘が
裸になるように
透明な皮膚を脱ぎ捨てるから

全身を覆う宇宙服みたいに
纏わり付いて離れない鎧が
姿勢を崩して歩こうとする

マンホールの蓋が持ち上がるなら
僕を乗せてどこかへ連れてって

君が僕を忘れてしまう前に
一緒に乗りたかったUFOの窓で

手形を残し雨に流されて
指紋が消えれば僕は誰になる

心は完全に止まったままの
古時計よりも傷だらけの
詩を詠うモーター

一人じゃなくて良かった
宇宙服を凧と間違えて
空へ揚げる子供たちの姿が

バラバラにならないような
糸が欲しい


自由詩 UFO Copyright ミナト 螢 2018-10-02 11:07:04
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