公園のベンチにひとり座り
秋葉竹


思い出の石ころ
涙に濡れて
湿ったメロディー鳴らす、星月夜。

だから、
道の端っこで聴く
「壊れかけの、ブランコに、乗りなさんな」
だから、
ころがるタイヤを追いかけて、
すべり台、走る。

みまちがえた笑顔が
スマホから飛び出すのに驚くあまり、
手の届かない新月を使って、
黒猫に化けるのは、夜空に浮かぶ白い雲。

今も、夜の餌は、
日付変更前に与えてしまっている、
「猫はいつまでも、起きているでしょう」
って。
それが必要だと告げられても、応えられない。

だから、許してほしい、と思わされるために
ころがる、過去からの、
すべてのすべり台を追いかける。

漂う過去からのトラウマを棄て、
カラフルな人になることが必要だと
なによりも白い羽根を千切られても、
捧げられる友とていない国に住む。

見つめ合う本好きなものたちの微笑みに、
つける薬は、なかった、
あのころの、
思い出の、石ころだけ、胸に。








自由詩 公園のベンチにひとり座り Copyright 秋葉竹 2018-09-30 16:14:15
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