あの日あなたにみつけてもらえなければ
立見春香




振り返ればふと懐かしい
貴方に初めて出会ったあの海
少し照れながら話しかけてきたのは
貴方じゃなくって友達のほうだったね

ええすごく覚えてる
あの浜辺で砕けて言えばナンパされて
私は貴方を見てすぐになにこれと思った
ビジュアルがだめだったし
天パが濡れて増えるワカメみたいな髪
なんとかしなければ魅力のカケラもないよ
でも声がすごく私好みだった
それで喋ったんだ貴方の声が聞きたくて

今はもうちょっと甘い恋ごころに
支配されているようで
貴方のことそのビジュアルも含めて
好きなんだってよかったね
でも貴方のどこが良いのか探している
道の途中なのだがそれでも
貴方のことを考えない日はないのだ
重たいかもしれないけれど

私はあの日あの海で貴方に出会わなければ
どんなオンナになっていたのかと思うと
ぞっとする
というかきっと自分で自分を安売りする
バカなオンナになっていたのだろう
そんな自分を想像するのも愚かなことだと
鏡の前で自分に向かってそっと話しかけてあげる
(みつけてもらって、よかったよね)
(あの日あの人にみつけてもらえなければ)
(私はどんなオンナになっていたのだろう?)


自由詩 あの日あなたにみつけてもらえなければ Copyright 立見春香 2018-09-29 10:40:12
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