オアシスのほとりで
Giovanni

人魚姫は逃げた

愚かな人の子狩人を
眩ますため
水浴みしていた
砂に埋もれそうな
砂漠に埋もれかけた
小さな小さな泉を
碧の湖に変えて
そうして2度とは
現れなかった

オアシスのほとり
ギリシア風の柱立つ
小さなレストランで
魚料理にかぶり付く
男が昔話をする

砂漠の風は
ビードロのように熱く
陽に焼けた子供達は
歓声をあげながら
湖の岸辺で戯れる

水飛沫があがる

狩人は
湖のほとりで
魚を食べたのだろうか
骨の多い白身に
かぶりつきながら
行ってしまった
天の川のような
白い人魚姫を
惜しんだのだろうか

熱い風が吹く
熱い風が吹く

子供達は
疲れて
眠って しまった











自由詩 オアシスのほとりで Copyright Giovanni 2018-09-24 18:16:44
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