闇のさかのうえ
秋葉竹



漆黒の羽を広げ
詳しく私の望まれない欲を
聞かせてよ

『バサバサ』と
言いたかったのでしょう?
曇りの空からは
希望のひとかけらも作られないから

誰にも抱きしめられずに
いま私の胸には
漆黒の羽を広げて
辛い傷を隠そうとする
静かな愛情がある

誰にも向けられない
ようやく寂しさが
人の目に触れる言葉になっても
何倍の時間をかけても
ひとえに爛れ切った早熟を
愛そうとした地球の軌道を描く日々は消えない

まつげにそっと涙を浮かべて
羽ばたく幸せを目指す機械じかけの小鳥

もう一度ちゃんとこっちをみて?

小鳥は黙って怒りを震わせていた
その空を
夜は飛ぼうと
冷たい風のこころを知って
すみやかに落下してしまう
情け無さについて
なにもいう資格はないんだ

もう時間がなく
振り返っても振り返っても
やさしく微笑む懐かしいまぼろしが見えない

その坂のうえには闇があり
いくつもの傷が蛇のように転がっていて
私の胸に噛みついた1匹などは
けっして暗黒の暴風を隠すつもりもなく
ひとえに私の胸を柔らかい罪として噛み殺し
1匹曇り空を見上げて
『ケケケ』と笑うのだ

そしてそれもいいとその坂のうえを
飛び出したくなるのではなく
冷静に悲しくなって来るのだ
闇にくるまれたブルースが見えなくて





自由詩 闇のさかのうえ Copyright 秋葉竹 2018-09-21 17:04:45
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