キイロシリアゲアリです
竜門勇気


僕はこんな場面に
出会うことなんてないと思ってた
君が誰かなんてわからないまま
終わると思ってた

今、すべての海に
つながる波を二人で見てるんだ
太陽がゆっくり熟して
気味の悪い色になって沈んでく

家をでたのは何時頃だっけ
こんなことになるなんて
思いもよらなかったって
消えそうな事を探して繋ぎ止めてる

大さじで一つ
ザラメをこぼしたみたいに
飴色のアリが集まってなにか話してる

そんな自滅の予兆に
にこやかな繰り返しを共有しようよ
彼女らが話す声が聞きたい
僕を笑ってるんじゃなきゃいいけどさ

アスファルトとコンクリート
岩礫とプラスティックの間
9月のさみしげな風の中で
身を寄せ合うキャラメルのような光

大さじで一つ
溶けた砂糖粒のような肢体に
何を思ってるの?

大さじで一つ
琥珀色の米粒をそっとおいたような
彼女らを見てる
死んでしまうすべてが
彼女を見てる


自由詩 キイロシリアゲアリです Copyright 竜門勇気 2018-09-18 01:44:53
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