ツノラー「バカ貝と水虫」
花形新次

バカ貝は
本当の名前があるのですが
脳が軟らかくなってしまって
思い出せません
それを良いことに
水虫はバカ貝を
「ばーか、ばーか」と
なじりました
水虫も充分バカだったとはいえ
水虫は自分の名前を
辛うじて覚えていたからです
「俺の名前は水虫だ、ばーか!」
本当の名はインキンでしたが
バカ貝も気付かないので
そこは完全スルーです
そんな風にいがみ合っている
バカ貝と水虫には
共通の友人がいました
チョコボールうかい
というおばはん自称詩人です
「ケンカをやめて、二人をとめて
あたしの為に争わないで」
チョコボールは
水虫に騙されて
身体と飯を
集られそうになったことも忘れて
バカ貝と水虫の間で
はしゃぎ回っていましたとさ

めでたし、めでたし


(ツノラー 自称童話集「中毒の多い料理店」より)





自由詩 ツノラー「バカ貝と水虫」 Copyright 花形新次 2018-09-17 20:17:57
notebook Home 戻る  過去 未来