魔物のような
中山 マキ








この黒く暗いものは
誰にも話す必要がないものなのに
私の精神を形成している中心部に位置している

いらないよいらない
そんなものいらない
と思い込もうとしているもの

その温もりを感じない場所で
僅かに目を逸らして生きているのに
小さい手に触れる機会があると
つい触れてしまう、途端に
私にあったもう一つの人生を
想像せずにはいられなくなる

羨ましいと呼ぶ感情は
私を魔物に即座に変えるから怖い
でも1番怖いのは
羨ましいって事を、ちゃんと認められない事なのだろう

一過性の気の迷いとは明らかに違う
年季の入った後悔や期待や想像に空想、
それらが丸まってぶつかって来て
私の中にある葛藤はちょっとしたきっかけで
とても殺傷能力の高い気分にすらさせる

幸せの形は時間の経過で変化するものもあって
その後ろ側には、違う形の幸せの可能性があった
それだけの事と、それほどのものは
希望的観測からすれば比例して欲しい

母になりたかった
母になれなかった
母になりたくない
どれも私で、どれも私ではない

だからこのまま
自問自答を繰り返して、自爆しながら
生きていくしかない
時々、魔物のような自分になっても仕方ない
そう思ってもいいだろうか








自由詩 魔物のような Copyright 中山 マキ 2018-09-13 17:08:06
notebook Home 戻る  過去 未来