きれいなそらの かげ
田中修子

わたしのみていた きれいなそらを だれもがみていたわけではない と
おしえてくれた ひと がいる

お金もなく居場所もなくからだ しかなく
ゆびさきはかじかんでいて いつもうまれてしまったことだけを
鳥が群れて空をゆく 羽のね
母も父も兄も いるのになく
家族がすきとおって いる
トンボらは眩しいように 赤く風に揺れる 翅のね

秋が終わってしまったら

ぬくいとこを さがさなくっちゃあ
あったかいコートが マフラーが てぶくろが
ほしいな

からだをうろうか かってくれるひとは ありますか
どこへいけば ありますか

(知りたくもなかったことを)

わたしのみていた きれいなそらが
やねのしたに 子といる いまも
淡くまぶたに やきついて

薄みずいろの
かげになっている


自由詩 きれいなそらの かげ Copyright 田中修子 2018-09-13 13:25:45縦
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