王国
春日線香

枕に頭をのせて考える。今この床下の暗闇のさらに下、地中に太古の塩水の溜まりがあって、そこでは数え切れないホヤの群れが生きている。無数のホヤがぶよぶよと積み重なり、水を吸入しながら性交に励んで際限なくその数を増やしている。赤茶色の華麗なる王国。無言の喜びの歴史。彼らがそれぞれに夢見ている宝石の小函に納められた、一粒の新鮮な砂金の輝き。


自由詩 王国 Copyright 春日線香 2018-09-11 18:30:31縦
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