メモ
はるな


えび茶色の、作務衣みたいな検査着に着替えさせられて、おなじくえび茶色のぺかぺかしたスリッパであるく。「スリッパは殺菌消毒されています」。おもに健康診断だけを専門にあつかうセンター、すみずみまで明るい新しい室内、まんべんなく適切に配置された「案内係」、番号とバーコード、そして片仮名で指名の書かれた札を首から下げて言われた通りの部屋の前で待つ。「6時間以内になにかカロリーのあるものを食べましたか?」「妊娠の可能性がありますか?」「いままでに経験した疾患のコードを読み上げます」よどみなく行われる問診と検査。体重と身長がどちらも減っていた。
すべてが終わるまでに90分もかからなかった。おもてに出ると、しらべなくてもわかる、台風の影響をうけた街が右に左に風に嬲られている。「いまがいちばんおいしい!!」というシールのついた秋刀魚を三匹買ってバスにのった。マーチンのなかでびしょびしょに濡れてしまったあしがつめたい。



散文(批評随筆小説等) メモ Copyright はるな 2018-09-04 19:38:10
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