無題という題名
こたきひろし

その夜。
彼女は初めて会った男に誘惑されて付いていった。
見た目にいい男だった。清潔感もあって、生理的嫌悪は微塵も感じられなかった。
今まで後生大事に守ってきたわけじゃない。
処女だったけれど、好奇心と性欲にいつまでもブレーキをかけられる筈はない。

経験はしたかった。
その夜。
女の扱いに馴れた男に狙われた彼女の体は仕留められてしまった。
男は弾丸。女はその標的になった。
勿論、汚された訳じゃない。女の体がそんな事で汚れたりはしない。

そして彼女はけして無謀備じゃなかった。
彼女はいつか来る日の為にいつもバックに忍ばせていた避妊具。

彼女は自ら封を切って男につけさせた。
そんな自分自身の強さに恥じらいは
なかった。



自由詩 無題という題名 Copyright こたきひろし 2018-09-03 00:10:17
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