その街が破れかけていたので
秋葉竹




恐竜の高さのビルの二階階段踊り場で
二段階右折を見降ろしていることに気づく

早朝さんざめく目眩(めまい)の驟雨は
作られた樹々の明日を生かそうとする

寂しい風がゆったりと吹くから
どこへも行ける自由とは疾風だと嘘をつく

地上絵を描いた見知らぬ男の子の清い汗が
白く冷たい氷の世界に飛び散り凍る

暗黒の中二の龍をそのまなこに飼った
恋人募集中の永遠のやわらかい未来を
寝床にできるあたたかいところへ行く彼が

まるで昔の自傷趣味の未分化な思いひきずった
オルゴールのような悪びれない永遠を
その舌で再生していたハタチ前の私に

クリソツだから、怖いよね。

すべて忘れすぎて生きたまま死んでしまう
ところだった甘い香りの白いクスリの刃は
いつも鳴らないこの街の有名な時計台で待つ君の胸に
時計仕掛けの神も癒せない擦過創(さっかそう)を残すだろう

私を殺し損ねた都会の風の中
その黒く汚れ果てた川も枯れ果てて
冷たい涙を残すのみとなるだろう
もはや死者と呼んでいい悲しみの暗い瞳を
根っこっからグラつかせてもういいやって
雨中に生きれば、死んでもいいやって
ローカルライオンになれれば
生きてもいいやって
羽化をみられれば
いいやって
あれ、もう
いいやって
感じる
気も
ない
なく
















自由詩 その街が破れかけていたので Copyright 秋葉竹 2018-08-27 00:19:50
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