日向に焦がす

焦燥の、密やかに、孵る、か細い、
雛の、誘われた、私の、
嘴、
支配者たる、無数、の、

無数、に、

蠢く、

メイメイ、

愚者を嘆いては希望に胸を踊らせ、不甲斐なさに溢れ落ちた涙の上に思い付きを撒き散らし、鮮やかな絵の具が走っては色褪せ、倦怠は死へ追いたて、好奇心は道草へ手をひき、昨日に唾を吐き、去年を讃え、明日を絶望し、来年に夢を見て、

猛々しく、
鶏鳴は会議室を破壊せんと暴れた。

  健康なテロメアに限りがあるように、
  人間を甘受するならば、
  立ち止まってはいけないよ。
  さもなければ、
  鎖は容易く環になるから、

私の身体は布張りのソファに沈む。
これ程までに、とても、
私は、

忙しいのだ。
とても、

表情を作るとか、手足を動かすとか、
大脳が命令を出す暇がない程に忙しく、

  息を吸って、
  息を吐く。

生き物であることを、

  息を吸って、
  毒を吐く。

忘れる程に、とても、

  花を吸って、
  煙を吐く。

とても、
忙しいので、

  星を吸って、
  恥を吐く。

私の身体は布張りのソファに沈む、
ただそれだけの日向に、
努めて大きく、

  息を吸って、
  息を吐く。


自由詩 日向に焦がす Copyright  2018-08-17 18:59:04縦
notebook Home 戻る  過去 未来