ノート(歩歩)
木立 悟





何度泣かせるのだ と
微笑むほど泣いた
泣いた 泣いた
そして 泣いた


治らない傷こそ生きている証だと
血のついた指で食べつづける菓子
何もかもがほどほどの
すぐに忘れる菓子


秘密とは言えない秘密を競い
痛みは痛みでなくなってゆく
どこかで聞いたことしか言わない人々
毎日 夢に出てくる人々


花のまわりには花があり
ひとりのまわりには誰もいない
降るものすべてに泣きながら
手のひらの器の音粒に笑む















自由詩 ノート(歩歩) Copyright 木立 悟 2018-08-15 09:20:31
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