ひとつ 走夜
木立 悟





意味を為さない言葉の灯が
夜の行方を照らしている
歯並びの悪いひとりの捕食者
誰もいない街を割る白い瀧


涙の側を飛ぶものが
光を手のひらに受けている
もう発つものもない廃駅の
黄土色の目をした別れの集まり


夜がひらく夜の窓
冷たい水が
痛みの奥まで到かないのは
赦された何かが立ちふさがるから


燃える原 燃える酒
明るさの裏に立つ骨の影
風に音に映りながら
夜明けを廻す力を見つめる


壁を聴く 径を聴く
廃れた街の 廃れた火を聴く
星を聴く 粉を聴く
荒地を燃やすかがやきを聴く


打ち寄せる
果物の匂いの闇のなか
爪が散らしつづける穂
二重の星座を振り向くけだもの


氷の櫛が
閉じた左目を常に梳き
夜を走るかがやきたち
凍りついた咆哮を聴く


















自由詩 ひとつ 走夜 Copyright 木立 悟 2018-08-13 08:39:23縦
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