散歩に意味なんてないのだけれど。
よーかん

夕立の匂い。そろそろまたこの辺の雑草を刈らないといけないか。遠くでゴロゴロと空が鳴る。横道にそれることにした。砂利だった道に草が生え、トラックのタイヤの跡だけ線路のようにまっすぐ伸びている。このあたりは浄水と下水がきていないから、まだ建売住宅が伸びてきていない。地主のお婆さんがそろそろ亡くなるだろうから、すぐキレイな一軒家で埋まってしまうだろう。いや、工場が敷地を広げるかな。

デフレなんてウソだともう皆わかっている。低賃金労働がある場所に仕事が流れ、低賃金労働で安価に大量生産されたモノでそこらじゅう埋め尽くされ、クロリティーよりクオンティティー、質より量な世界になってもうかれこれ数十年たっているのだから、これが当たり前で、これはこのままずっと続くはずなのだ。テレビがお手軽な心配事を並べるのは、賢い人達の賢い選択だけが、ボクラの明るい未来を守るために必要なのです。最低限の第一条件なのですから、だからと、財務省あたりの役人さんが、とってもスマートにスーツを着こなす広告代理店の皆さんに、イメージ管理を依頼しているからなんだよ、どうよ、そうでしょうが、とか妄想してしまう。いやだね、ホント。

ああ、なんだ、夕暮れどきに散歩なんてするもんじゃないよな。そんな風に誤魔化してみて、タバコに火をつける一人のオトコ。

国道沿いのローソンは、たぶん混んでいるから、清水建設の駐車場前のローソンに向かっている。ゴロゴロとまた鳴っているが、空はまだ薄っすらとしか雲に隠れていない。細く煙を空にはいてみた。チチチチチと向こうの草陰から虫の声が聞こえる。自転車の気配に身を左にずらすと、ママチャリの野球部が流していった。イガグリ頭に太い眉。得体の知れないオヤジと夕暮れ時にすれ違ったせいか、肩をイカらせてママチャリをこぎ出す。なんだか、日本も悪くないよな、そう思わせてくれる顔つきだったが、どこのヤツだかまったく知らない。

まったくこの千葉というトコロは。ポリシーなんてあったためしがない。

あれ、なんか忘れている。ああ、光った。ここからだと北東だから千葉市のほうか。音に気づかなかったな。でもローソンのヒカリってのはなんていうか、安心の象徴みたいなヒカリだよな。こう歩く速度を変えなくても、それがそこにずっとあってくれるから、別にいいじゃんか、そんな気分にさせてくれる。缶チューハイ買っちゃおうかな。灰皿にタバコをいれて、ドアを引いて中にはいった。「いらっしゃいませ。」

この声が聞きたかったのかもな。

ナニ買いに来たんだオレは。








自由詩 散歩に意味なんてないのだけれど。 Copyright よーかん 2018-08-12 19:40:42縦
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