春の記憶
ミナト 螢

出会いと別れの時刻表を走る
駅はいつも出入り口で混んで
感傷に浸る間も無く電車が通り

手紙を書くよという君の声が
今日は何だか良く聞こえなくて
飲み込んだ言葉が胸に刺さり
いつしか抜けない棘になっていく

それが君という証なんだから
ばらを食べたと思って痛みを知る

僕等は同じ小説を高架下で交換した
指先が触れて約束するよ
最後のページまで読み終えること

春の記憶に優しさを混ぜた
君の体は覚えているかな

月の皮が剥けそうな夜
僕は赤いスピンをナイフで切り
君の薬指にリボンを作る


自由詩 春の記憶 Copyright ミナト 螢 2018-08-12 17:57:09
notebook Home