地獄
ミナト 螢

時の扉に挟まれた爪で
やり直せない歴史を引っ掻く
それは黒でした

傷付いた方が爪だったとしても
切れば伸びるから痛くはなくて

蝶のように死んだ体でも
美しいなんてちょっとズルイね

歴史は守られる生き物みたいに
呼吸をしながら鼻息は荒く

時の翼に任せた背中で
吹き飛ばされたら転げて落ちる
これは穴でした


自由詩 地獄 Copyright ミナト 螢 2018-08-09 09:56:41
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