生が実存であるように死もまた
HAL

生が実存であるように
死もまた実存だと云ったら
きっときみは口を尖らせ否定するだろう

現実主義のきみのことだ
死をこの世から去った無だと反論するだろう
でもぼくはそうは考えてはいない

どんな死も忘れられなければ
殆どの生のように実存すると
ぼくは想っているし信じている

命の日とする命日があるだろう
それは実存する死を忘れない為だ
忘れ去られれば死はきみの云う通りだ

死は実存ではなく非存在になる
そう きみや多くのひとが想うように
無となってしまうことをぼくは認める

だからあらゆる死を
忘れ去ってはならないし
絶対に無に帰してはならない

誰かがその死を忘れ去らない限り
その死は永遠に実存することができる
非存在とならず実存することができる

でももうひとつぼくらが
忘れてはならないことがある
覚えておかなければならないことがある

それは生として実存しながら
誰からも忘れ去られてしまい
非存在として生きているひとがいることをだ




自由詩 生が実存であるように死もまた Copyright HAL 2018-08-08 07:50:07
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